よく”フルサイズはよくボケる”と言われがちですが、これはちょっと言葉足らずです。特に初心者の方は躓きがちなところなので、原理的なところも含め、本記事でシェアしたいと思います。
”フルサイズはよくボケる”、これは嘘ではありません。ただし、誤解を招かないように言うとすれば、”同じ画角で比べた場合にはAPS-Cやマイクロフォーサーズなどに比べ、よくボケる”が正解です。
どういうことかというと、どのくらいボケるかはセンサーは一切関係ありません。ボケ具合を決めるのは、被写体までの距離、F値、そしてレンズの焦点距離の3つなのです。
ではどうして、よく”フルサイズはよくボケる”と表現されるのでしょうか?以下で順を追って説明していきます。
まずはカメラの構造をおさらい
”フルサイズはよくボケる”と表現される理由の説明の前に、今後の説明のために、デジタルカメラの構造についておさらいしておきます。
デジタルカメラは光を集めるレンズと、集めた光をデジタルデータに変換するセンサーからなります。
※【キャノン公式】カメラ初心者教室より引用
フルサイズというのは、このセンサーの規格(≒大きさ)のことであり、APS-Cやマイクロフォーサーズといったワードと対比して使われます。フルサイズの大きさは35mm版の大きさと同等で約36mm×24mmのサイズとなっています。センサーの大きさは、フルサイズ>APS-C>マイクロフォーサーズとなります。
※価格.comマガジンより引用
画で比べてみると結構差があるのが分かると思います。まずはカメラの構造とセンサーの規格について、簡単におさらいしました。
ボケ具合をきめるのは?
まず、ボケ具合の大きい写真を撮りたい場合は、ピントの合う範囲(以後、被写界深度と呼びます)を狭くすれば良いわけです。そして、その被写界深度は前述した通り、以下の3つによって決まります。
- 被写体までの距離
- F値
- レンズの焦点距離
1.被写体までの距離が短いほど被写界深度は狭く(ピントの合う範囲が狭く)、被写体までの距離が遠いほど被写界深度は深く(ピントの合う範囲が広く)なります。
2.F値が小さいほど被写界深度は狭く、F値が大きいほど被写界深度は深くなります。
3.レンズの焦点距離が長いほど被写界深度は狭く、レンズの焦点距離が短いほど被写界深度は深くなります。
これらは経験的にしっくりくると思います。被写体に近づいたり、F値を開放側にしたり、ズームレンズで望遠側にしてみると背景がボケた写真が撮れますよね。これは光学的に決まるもので、細かい原理についてはWikipediaを参照ください。
余談ですが、オールドレンズなんかは絞りリングの隣に目盛りが振ってあったりしますが、これがまさしく被写界深度です。各F値の時にどのれ位の範囲でピントが合うかを示しています。
ここで本題に戻ります。なぜ、”同じ画角で比べた場合にはAPS-Cやマイクロフォーサーズなどに比べ、よくボケる”のか?
フルサイズに対してAPS-Cやマイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいです。これは、写真をトリミングしているのと等価です。
一つ例を挙げましょう。下の写真はフルサイズで焦点距離24mmで撮影した写真です。そして、同じく焦点距離24mmのレンズでAPC-Sとマイクロフォーサーズで撮影したときの写真の範囲も重ねて示しています。
ご覧の通り、同じレンズを使用した場合には、フルサイズに比べてAPC-Sとマイクロフォーサーズは写る範囲が小さい(≒トリミングされている)のが分かると思います。仮にフルサイズの焦点距離24mm相当の写真を撮る場合は、APC-Cでは焦点距離16mm、マイクロフォーサーズでは12mmのレンズが必要になります。
前述した通り、焦点距離が長いと被写界深度は浅く(ピントの合う範囲が狭く)なり、ボケの大きな写真を撮ることが出来ます。同じ範囲を写そうとした場合、フルサイズのカメラがAPC-Cやマイクロフォーサーズに比べて、焦点距離の長いレンズを使用することになるので、必然的にボケ具合も大きくなるわけです。
これが”フルサイズはよくボケる”といわれる所以です。決して、センサーが大きいからボケているわけではなく、同じ画角を得るために、相対的に長い焦点距離のレンズを使用するからボケるのです。したがって、”同じ画角で比べた場合にはAPS-Cやマイクロフォーサーズなどに比べ、よくボケる”がより正確といえるわけです。
おわりに
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